小児科
はじめに
少産少子時代となり、こどもの成長・発達を守る親にもさまざまな問題が生じてきています。更には急激な老人の増加に伴う老人に対する保健行政に目が向くことが多く、どうもこどもの世界は二の次にされている様相があります。こどもの病気の中心はなんといっても相変わらず感染症ですが、ウイルス感染が中心であり、予防接種の普及と共に次第にその数も減少しつつあります。それに変わってアレルギー性の病気や心身症が大きな問題となってきています。また、小児の死亡につながる問題としては事故、悪性腫瘍、自殺などのことが重要な問題となりました。健康なこどもを生むことも大事な問題です。妊娠中の母体、出産の過程に小児科医が携わらなければならない問題が多くなりました。社会の急激な変化に対応して小児科の仕事も大きく変貌を遂げなければならない時代です。
当科の概要
小児科においても病気は様々な原因が重なり合ったもので、たとえ同じ疾患と診断されてもその治療は一人一人に合ったものでなければなりません。そのためには、急性・慢性に関わらず病気の診断が原因の究明と同時に、病態の把握が大事になってきます。それは、いわゆるサブスペシャリティーの枠を超えて小児を全体として把握することも必要となってきます。当院では、そのような意味で、いわゆるアレルギー、感染症からてんかん、糖尿病、血液疾患、腎疾患なども長年診て参りました。さらに、箱庭療法やカウンセリングを通して心身症や発達障害も診ています。
時代とともに子供を取り巻く状況は様々に変化しており、医療に求められる内容も刻々と変わっていますが、それにできるだけ応えて行こうと思います。
なお、心疾患は毎月第三水曜日午後に心臓外来を開設しています。
困った時は、一度ご相談ください
スタッフ紹介
役 職 | 氏 名 | 卒 業 |
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医 長 | 梶原 敬一 | 昭和55年 京都大学医学部卒業 |
お子さまのご両親へ
当院小児科外来で配布しているパンフレットです。お子さまの症状と,それに対する一般的な対処法が書かれていますので,ぜひご一読下さい。
「熱が高いと脳がやられる!」などといいますが、40度程度の熱があっても脳はやられません。安心してください。
熱さましは病気を治す薬ではありません。熱を下げることばかりに気を取られないようにしましょう。熱さましが原因で悪くなることがあります。安易な使用はやめましょう。
- お家の中で静かに過ごしましょう。いやがらなければ、頭やわきを冷やすのも効果的です。
- 食欲がなく、食べられないこともありますが、無理に食べさせる必要はありません。
- 熱の出始めはゾクゾクします、暖かくしてあげる必要がありますが、熱が出てしまったら暖めすぎはよくありません。かえって熱がこもってしまいます。着せすぎず涼しくしてあげてください。
- 熱が続くと脱水症になりやすいので水分はこまめに与えてください。(ジュース、イオン飲料など)
- 入浴は本人がしんどそうな時や、高い熱の時以外はかまいません。
- 熱は病気に対する防御反応で、体にとって悪いものではありません。
- 熱が出ることによって免疫や抵抗力が作られ強い体を作っていきます。子どもは頻回に熱を出します。そうしながら丈夫な体に成長していっているのです!
乳幼児はちょっとした風邪や発熱でも嘔吐や下痢をきたしやすいものです。激しい嘔吐や下痢をしたときには体内の水分が不足し脱水になりやすくなります。赤ちゃんや小さな子どもの場合吐いたり、下痢をしていてもケロッとしているようなら心配ありません。
- 吐いたものが気管に逆流しないように顔を横向きにして寝かせ、口の中に残っている吐物を取り除いてあげましょう。
- 吐き気、嘔吐があるときは食事を4~5時間控えましょう。落ちついたら湯冷まし、イオン飲料などを少量ずつこまめにあげてください。
- 酸っぱいジュースは吐き気がひどくなることがあります。
- 母乳を飲んでいるのを無理に止める必要はありません。
- 水のような便が頻回に出て、グッタリしているときにはすぐに病院に行きましょう。
- イオン飲料やスープ類(脂肪や蛋白質を避けたもの)をこまめに飲ませてあげましょう。
- 水分が摂れていれば食事がとれなくても心配ありません。
- 摂れそうなら油分は避けお粥などの消化のよいものを与えてみましょう。
- ミルクは1/2~1/3に薄めて飲ませてあげましょう。
- おむつかぶれしやすいのでこまめにお尻を洗い清潔にしてあげましょう。
赤ちゃんや小さな子どもの場合、グッタリとしていたり他の症状を伴う時は注意が必要ですが、ケロッとしているなら心配ありません。まずは水分を補給しながら様子を見て受診しましょう。
『あっ!大変、ひきつけた。』でもお母さんびっくりしないで。まずは一呼吸。落ち着いて!
- 周りに危ない物はありませんか?ひきつけるとガクガク、ピクピク手や足、体が勝手に動いてしまいます。体があたったり、傷つかないよう危ない物はないか、周囲を見てみましょう。
- 揺さぶったり、顔をたたいたり、強い刺激を与えないようにしましょう。刺激でひどくなることがあります。
- 舌を噛む事はないので、無理に棒やハンカチなどを口の中へ入れるのはやめましょう。口の中に食物が入っている時には、誤って気管の中に入ってしまうおそれがあるので、顔を横に向け、ひきつけが止まったら口の中の物を指にガーゼを巻き付けて取り除いてあげましょう。
- ひきつけても数秒~数分で止まります。慌てず止まるのを待ちましょう。しかし10分以上ひきつけが止まらない場合や繰り返す時には、すぐに病院に連れて行きましょう。
- 全身をひきつけた場合、顔や体の色が悪くなることがありますが、止まったら元の色に戻ります。安心してください。
- ひきつけた時は慌てず、ひきつけの状態を観察しておきましょう。(手、足の状態、全身の状態、視点、何分ぐらい続いていたか等)
- 5歳までのお子さまで、38度以上の発熱があり、10分以内におさまるようであれば、熱性けいれんの可能性が高いので、ほとんどの場合は心配することはありません。
- ひきつけ止めの座薬は医師の指示により使用しましょう。
- 熱の出始めにおこすようでも、解熱剤の使用はほとんど必要がありません。医師の指示に従い安易な使用は止めましょう。ひきつけても慌てないで!落ち着いて行動しましょう。
乳幼児は手に触れる物を何でも口に入れてしまいます。誤飲は予防が一番大切です。家の中をもう一度見直してみましょう。思わぬ事故が起こらないよう十分気をつけましょう。
- たばこ
誤飲で最も多いのがたばこです。誤って1本食べた場合でも、ニコチンの吸収はゆっくりで、嘔吐する作用があるので重篤な症状になることは少ないです。しかし灰皿に水を入れていて、吸い殻からニコチンが溶けだした液を飲んだ場合、速やかに吸収されて、重篤なニコチン中毒症状(嘔気、嘔吐、不整脈、呼吸困難、意識障害等)が現れます。その場合は胃洗浄が必要なので、すぐに病院へ行きましょう。 - ボタン型電池
胃の中で電池が溶けてアルカリ液が漏れ出すと、穿孔や潰瘍を形成する危険があります。病院へ行って必要な処置をしてもらいましょう。 - 洗剤・漂白剤・洗浄剤(バス、トイレ、カビ取りなど)
台所用洗剤は毒性が低いので、大量に飲まなければ心配いりません。漂白剤、洗浄剤の場合、酸、アルカリによる粘膜の刺激、腐食作用があります。できるだけ早く、牛乳または、卵白を飲ませて病院へ行きましょう。お酢やジュース、炭酸飲料は絶対に飲ませてはいけません。 - 殺虫剤
蚊取りマット1~2枚は心配ありません。スプレー剤の場合は、無理に吐かせず、病院へ行きましょう。 - 石油・灯油
誤飲によって、気道に入ってしまった場合、化学性肺炎をおこすので、無理に吐かせたりせず、すぐに病院へ行きましょう。 - 化粧品
化粧品 | アルコールを含有している物は、体重1kgあたり2㎖以上 (例:10kgの子供が20㎖以上)飲んだ場合は、病院へ行きましょう。 |
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乳液・クリーム | 毒性低く、心配ありません。 |
マニキュア・除光液 | 口に入れても飲み込むことは少ないですが、 念のため病院へ行きましょう。無理に吐かせてはいけません。 |
染毛剤 | 1㎖未満なら心配ありません。5㎖以上飲んだ場合、病院へ行きましょう。 |
- 文具
クレヨン、インク、絵の具、鉛筆、色鉛筆、のり、消しゴムは、ほとんど無害です。ボンド、セメダインは無理に吐かせず、病院へ行きましょう。墨汁、粘土は大量の場合、嘔吐、下痢が現れます。症状がひどい時は、病院へ行きましょう。 - お金
飲み込んでも心配ありません。2~3日すれば排出されます。 - 薬
市販薬や大人の薬など、必要以外の薬を飲んでしまった場合は、その薬の名前、成分がわかる物(説明書、空箱など)を持って、病院へ行きましょう。